昨年5月に最終回を迎えた、「昭和の着物語り・今よみがえる90年前の色彩」では、栗谷家に伝わる大正から昭和初期の着物をご紹介いたしました。
引き続き、昨年7月より昭和40~50年代を中心に「昭和時代の着物」をご紹介して、はや1年が経過いたしました。
2年目は昨年ご紹介した帯には着物を、着物には帯を合わせてコーディネートした形でご覧頂きます。
【片輪車に滝模様訪問着】に【鯉の紗袋帯】
安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
夏の着物は暑いからと敬遠されがちですが、朱夏に洗練された涼やかな装いをするのは最高のおしゃれです。
今回ご紹介する絽縮緬の訪問着は、「昭和の着物語り」の栗谷家から頂いた着物です。
お茶事は亭主がテーマを決め、それに因んだお道具や懐石料理、お菓子などで、客をもてなします。
客は茶事のテーマを探りながら、亭主の心入れに感謝しつつ、豊かなひとときを味わいます。
お茶会は数多く行われても、2刻かけて行われる茶事は、度々経験出来るものではありません。
今から3年前の7月、正午の茶事に招かれた時の事でした。
待合に進むと、お床には、祇園祭の長刀鉾のお軸と菊水ちまきが飾られていたのです。
その日の私の装いが、今回ご紹介する一揃いでした。
もしかしたら、今日のお茶事のテーマは「祇園祭」?「今日の着物が、お茶事のテーマに一致しているかも知れないのでは?」と胸がときめきました。
本席に席入りすると、祇園祭に因んだお道具の数々が目に入り、しばし感動いたしました。
淡々斎好み、涼やかな段雪の風炉先の手前には、御所車を表現している御幸棚が置かれていました。
長刀鉾の香合、祇園祭のお茶碗、蘇民将来のお守りの棗、等々が祇園祭を演出していました。
お茶事のテーマに、当日の装いが偶然一致したのは、めったにあり得ない事で、思い出のお茶事となりました。
その翌年、この着物を着て京都に旅行。祇園祭のお茶会めぐりをしました。
◆おさえた地色ですが、裾から肩にかけての滝模様がダイナッミクな訪問着に、昨年ご紹介した、さざ波にゆらぐ金銀の鯉の紗袋帯を合わせました。(【鯉の紗袋帯】のコメントは下方をご覧下さい。)
◆金糸を織り込んだ絽縮緬の地に、染め疋田の4筋を滝と見立て、波、片輪車の構図です。
◆前面の構図です。
◆本手描き友禅に縫い取りが施されているクオリティの高い着物です。
◆上の拡大画像です。
◆金糸が織り込まれた袖の部分です。
☆来月は、うす物の色無地に秋草模様・絽染め袋帯のコーディネートをご紹介の予定です。
☆過去の「昭和の着物語り」はこちらから
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