「昭和の着物語り9」
☆蘇った色彩6☆
立春を過ぎると、梅の蕾もふくらみ始め、澄んだ空気の中、高尚な香りが辺りに漂い、私たちの心を豊かにしてくれます。
梅の花は1月から3月2日までの季節の模様として古くから親しまれています。
【梅の小紋】大正15年撮影
今月ご紹介する着物は、紺桔梗色、はなびら地紋の梅林を連想させる小紋です。
ぱっちりとした白あがりの可愛い梅が描かれ、花芯も細かい手描きと繊細な刺繍が施されています。
手描きのしなやかな枝には梅の蕾も刺繍されています。
下前やおはしょりで隠れる部分まで省略することなく、手抜きのない職人の技です。
22歳の絹様は、当時一世風靡した髪型「203高地」をアレンジした束髪に結い上げて、流行の最先端であったと思われます。
当時の帯はみつかりませんでしたが、保存されていた絹様の他の帯を合わせてコーディネートしました。
上の写真に羽織をはおった着物姿です。
【かさね】
2月は如月ですが、寒さで着物を重ねて着ることから、衣更月(きさらぎ)とも書きます。
暖房と言えば火鉢や炬燵の時代には、寒さを防ぐため、着物の下に「かさね」を着用していました。
以下の画像は12月でご紹介した「雪輪の小紋」と1月の「三つ紋付色留袖」の「かさね」です。バックナンバーの胸元をもう一度注目し確認して下さい。
かさねは着物と着物の間に暖かい空気を保ち、理にかなった、レイヤードファッションです。
暖房の発達した現代では「伊達衿」が「かさね」の名残を留めています。
左側が「雪輪の小紋」のかさね、右側が緑の色留袖のかさねです。
2枚とも、衿、袖口、振り、裾など、ほのかに見える部分は着物の裾回しと同じ生地で作られています。
【2月の写真】
昭和17年2月3日の茶会の写真です。絹様は1月に掲載の丸帯を締めています。
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