安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
お茶の世界では、11月が炉開きで「口切りの茶事」が行われ、その年採れた新しいお茶を頂きます。炉開きは茶人正月といわれる所以でもあります。
10月は茶壷に残り少なくなったお茶を頂き、風炉ともしばしの別れを惜しんで「名残の茶会」が行われます。
室礼やお道具の取り合わせも詫びた風情の趣向で主客ともに1年を振り返ります。
着物も華美な着物よりは落ち着いた雰囲気の方がよろしいでしょう。
昭和55年にあつらえた下の画像の訪問着は、長生きすれば人間国宝と賞賛され早世を惜しまれた、東京友禅の第一人者「熊谷好博子」に製作をお願いした着物です。
当方の要望としては、竹に菊を配した模様を水墨画で描いて下さいとのみお願いし、白生地のセレクトから、地染め、水墨画、仕立てまで、全てお任せいたしました。
私は、強い風雨に見舞われても逆らわず雨に打たれ風になびき、それが過ぎればまた元の通り凛としてまっすぐに伸びる「竹」が好きなのです。
この着物は1991年「着物サロン」秋の号で、「名残の茶会」に着用している様子が紹介されました。
◆一幅の絵画のような芸術性の高い着物です。
◆下の画像は前身頃の左袖です
◆後身頃の右側です
◆下前の好博子の落款です
☆好博子没後、ご遺族は作品を文化学園・服飾博物館に寄贈し「熊谷好博子の世界展」が開催されました。いつの日にか再び、作品が公開されるのを願ってやみません。
☆来月は付立染作家、山下春径作「紅葉の小紋」をご紹介の予定です。
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