2011年5月に最終回を迎えた、「昭和の着物語り・今よみがえる90年前の色彩」では、栗谷家に伝わる大正から昭和初期の着物をご紹介いたしました。
引き続き、2011年7月より昭和40~50年代を中心に「昭和時代の着物」をご紹介して、はや1年が経過いたしました。
2012年7月からは、昨年ご紹介した帯には着物を、着物には帯を合わせてコーディネートした形でご覧頂きます。
【昭和の着物語りー季節の特集】
卯月(四月)◆桜の訪問着・義経千本桜の袋帯
安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵
ようやく木々が若緑色になり、花々が咲き乱れる本格的な春を迎えました。
日本列島を桜前線が次第に北上して、全国各地で桜を楽しむ人々で賑わいます。
桜は、私たちに開花を待ち望む心、満開の桜を愛でる気分の高揚、そして和みを与えくれます。
平和な世の中で、着物を着て桜を見る事ができることに感謝したいと思います。
今月ご紹介する訪問着と袋帯は姉妹店「おりいぶ」で購入いたしました。
桜のみの着物もよろしいですが、私は今回ご紹介する桜控えめな着物が好きです。
この着物は墨色の生地に、桜、御簾、扇面、菊、松、もみじ、流水など四季折々の様々な古典模様ですので、本来季節は問わないのですが、衿もとの桜一枝が印象的なので、桜の時期にしか着用しないのです。
桜吹雪の義経千本桜の袋帯は、期間限定の贅沢な帯です。
帯締めも桜の高麗です。
毎年この取り合わせで、四月のお茶会に臨むのは避けたいと思い、着物には
他の帯を、帯には他の訪問着を合わせて装いの変化を楽しんでいます。
◆全体図です。
墨色の地、帯の色彩など、満開の桜の散り際が儚く幻想的な夜桜の趣でしようか。
◆バストアップです。
花浅黄色の桜の帯締めが装いを引き締めています。
◆前身ごろの部分です。
エ霞に桜、御簾、扇面、松、流水、紅葉、菊等の古典柄です。エ霞と菊には金の縫い取りが施されています。
◆背面の二重太鼓です。
流動感ある桜吹雪が装いに密やかにリズムを与えています。
◆この一式を着用した潅仏会茶会の写真です。
4月はその他に、国際ソロプチミスト調布ローレルのお茶会が深大寺で毎年行われ、「なんじゃもんじゃ」の花と再会するのが楽しみです。
☆5月は二代目更甚の更紗の小紋に「あじさいの染帯」をご紹介します。
☆過去の「昭和の着物語り」はこちらから
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