文月(七月)◆【紗の着物―昭和初期】に【紗の名古屋帯―昭和54年】 | 着物レンタルあき

2011年5月に最終回を迎えた、「昭和の着物語り・今よみがえる90年前の色彩」では、栗谷家に伝わる大正から昭和初期の着物をご紹介いたしました。
引き続き、2011年7月より昭和40~50年代を中心に「昭和時代の着物」をご紹介して、はや1年が経過いたしました。
2012年7月からは、昨年ご紹介した帯には着物を、着物には帯を合わせてコーディネートした形でご覧頂きます。

【昭和の着物語りー季節の特集】

文月(七月)◆【紗の着物―昭和初期】に【紗の名古屋帯―昭和54年】

安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵

茶花「半夏生―はんげしょう」が、ひっそりと静かに梅雨の終わりを告げています。

季節はめぐり、また暑い夏を迎えます。
年を重ねる毎に、暑さに弱くなりましたが、時候に合わせた着物選びの楽しさが暑さを忘れさせてくれます。

今月ご紹介する紗の着物は「昭和の着物語りー今よみがえる90年前の色彩」の栗谷家から頂いた着物です。昭和初期には、かなり高価な着物だったと推測しています。

遠目には、無地に見えますが近づくと繊細な透かし織が施されています。
張りのある材質で、体から遊離して着心地は涼やかです。

帯は昭和54年、亡き越路吹雪さんのお妹様、池田静江先生が単衣の「白地薄紫の花の小紋」に合わせて選んで下さった名古屋帯です。

◆涼やかな夏の装いです。

◆バストアップです。
帯揚げ、帯締めは帯と同系色にいたしました。
帯は薄紫の紗に野葡萄の柄のように見受けられます。
帯締めは30数年前の自作です。
帯揚げは見えませんが、麻の葉に蛇の目傘模様のたて絽です。見えないところにおしゃれをするのは、日本人の心意気でしょうか。

◆後の帯姿です。
紫の花の色彩と薄緑の野葡萄の葉の色が美しい帯です。

◆着物の拡大図です。所々施されている透かし織が高級感を添えています。

◆夏の装いに欠かせないパラソルは、銀座松坂屋の閉店セールで求めました。
和の風情で着物に合うと思います。

☆パラソルはイヴ・サンローランです。
サンローランと言えば、越路吹雪さんを思い出します。
リサイタルの衣裳のほぼ全てが、パリのサンローランのオートクチュールでした。

サンローランのドレスを着こなし、広い日生劇場の舞台にただ一人立たれても絵になる方で、唯ただ、ため息が出るように素敵でした。
家に帰っても、越路さんのシャンソンと衣裳に魅了され、4,5日は夢うつつの状態でした。

チケットは、今回の帯をお見立て下さったお妹様、池田先生のお取り計らいで、岩谷時子さんが一般の予約の前におさえて下さっていました。
ある時、池田先生に9月のリサイタルのチケットをお願いするため、お電話をしましたところ、「今、姉のところから帰って来たの。秋のリサイタルは無理かもしれません。」とのことでした。それから間もなくしてマスコミが騒ぎ始めたのでした。

お通夜ではドーナツ盤の「愛の賛歌」と「誰もいない海」、そしてお志はご主人内藤法美さんのお手紙と最後のドラマチックリサイタルのLPを頂きました。
越路さんの思い出とともに、今も大切に保管させて頂いております。

☆8月は絽の小紋に相良刺繍の名古屋帯をご紹介の予定です。

☆過去の「昭和の着物語り」はこちらから

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