師走(十二月)◆【本疋田(匹田)総絞り長着】 | 着物レンタルあき

昭和45年制作  安部麗子(あき渋谷店店長)所蔵

平成23年は私たちにとって、今までの生活全般を見直さなくてはならない年になりました。
限りある資源を大切に使わなければならない事を改めて教えられた年でもあります。

現代のような暖房もなく炬燵や火鉢で暖をとっていた時代、衣服の面では、着物を重ねたり、綿入れを着用して寒さを凌ぎました。
今回ご紹介する絞りの着物は羽二重で裏打ちされ、1枚で着物を2枚着ている暖かさです。
これも寒い冬を過ごす先人の知恵の一つでありましょう。

若き頃、あるお茶会の薄茶席で先輩が総疋田絞りの着物をお召しになっておられました。私はその美しさに見とれて、自分もあのような着物を着てみたいと思ったのです。
早速出入りの、平河町「いとう丸菱染物店」のご主人に相談いたしました。
各方面を駆け巡ってようやく手に入れて下さったのは、一粒が絹糸13回巻きでびっしりと糸で括られている白生地でした。
伊藤さんのアドバイスを受けながら、生地の染め色を決め、染めは京都に出しました。染めあがった反物は色彩の確認のため東京へ戻り、その後再び京都にて、絞りの幅を反物の幅に伸ばし、形を整えるために羽二重で裏打ちが施され、仕立てられた着物です。

◆手作業で、この一粒一粒の先端をたたんで、絹糸で13回括り、染めの工程を経て、糸を解くと、防染された鹿の子の模様が現れます。(白い部分が絹糸を巻いた箇所です)

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◆緻密な中にも、機械絞りでは味わえない人の手作業のぬくもりがあります。
拡大してご覧下さい。

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◆残り布でショールを作りました。

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◆ショールを解いてみました。反物全体に薄い羽二重で裏打ちされた状態がお解り頂けるでしょうか。

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本疋田総絞りは、江戸時代には「奢侈禁止令」の対象にもなったそうです。
反物一面を一つずつ手作業で絞っていくのは、根気のいる大変な作業です。

☆新年は、征夫作 「銀嶺の訪問着」をご紹介いたします。

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